免疫は自己と他者を見分け他者を排除する仕組みのことですが、元々は自己であった「がん細胞も識別し、それを排除していると考えられています。一方でがん(腫瘍細胞)は繰り返し免疫システムによる監視や排除の圧力を受けることによって、このような圧力を排除する、抑制すると近年考えられるようになりました。これは免疫編集(Immunoediting)という考え方です。この研究では、独自に樹立した免疫応答検出系を用いて、がん細胞が免疫システムの活性化を抑制する様子を示しました(図2) 。現在はこの現象を引き起こす責任分子の同定を進めています。少なくともこれまでのところ、想定される既知タンパク質では十分に説明できないことがわかっています。複数の免疫抑制分子を種々の腫瘍細胞が産生することがわかっており、これらの同定をHPLC等を駆使して進めています。
|
図1.がんの変異と悪性化(Immunoediting)
図2.がん細胞移植後に免疫活性が徐々に低下する
|